高校留学をしたいと思っても、実際はどのようなものかイメージするのはなかなか難しいでしょう。
しかし、国際化が進むこの社会で、高校生のうちから語学力を高めたり、異文化を体験したりすることは、大きなメリットをもたらします。
そこで本記事では、高校留学の種類や費用などを網羅的に解説します。さらに、自分に合った留学スタイルの選び方についても解説しています。ぜひ参考にしてください。
高校留学とは
高校留学とは、高校生にあたる期間の内に行う海外留学のことを指します。
そのため、ひと口に高校留学といっても、日本国内の中学校を卒業した後に海外の高校へ入学するタイプや、日本国内の高校へ在籍しつつ海外の高校へ一時的に留学するタイプもあります。
留学期間も、1週間ほどのものや年単位のものまで様々です。
ここからは、高校留学をする意義やメリット・デメリットをより詳しく解説します。
高校留学をする意義
高校留学と聞いて、「高校生で留学は早すぎるのではないか?」「大学進学後でも良いのでは?」と感じる方も少なくないでしょう。
しかし、10代の多感な時期にチャレンジする留学だからこそ、得られる経験があるものです。
その1つといえるのが、若い感性を持ちながら、日本国外から日本を見つめ直す経験です。
留学先での経験から日本国内・国外の現状を対比することができ、世界的な社会課題を身をもって捉える機会になります。
また、高校生自身が高校留学に興味を持っているのであれば、未来の世界をより良いものにしたいというチャレンジ精神が芽生えていると考えられます。
そこで高校留学という機会を設けてあげれば、その精神をより強くさせてあげることも可能です。
実際に文部科学省「トビタテ!留学JAPAN」の調査では、留学への関心度と社会課題解決への関心度には、相互関係があると示されました。
海外留学に関心がある学生は、「日本に解消したい社会課題がある」「社会課題について家族や友人など周りの人と積極的に議論している」などといった質問に、無関心な学生より高い割合で「はい」と答えています。
つまり、より良い社会づくりに貢献したい気持ちの表れが、留学への意欲となっている可能性があるのです。
これからのグローバル時代を生き抜くうえで、社会に関心をもち、柔軟に対応する力は大きな武器となります。
これらを得るためにも、感性が柔軟である10代のうちに日本国外から日本を見る経験は貴重な学びとなるでしょう。
加えて、早いうちから海外留学というキャリアを積むことは、高校生本人の将来に大きく影響を与える可能性があります。
グローバルな場で早いうちから活躍する力を身に付けるには、若いうちからの準備が大切です。
高校留学の経験が大学選択や就職先選びのために役立ち、将来の選択肢を広げるきっかけになるかもしれません。
高校留学のメリット
高校留学で得られるメリットには、以下のようなものがあります。
● 何事にも挑戦するチャレンジ精神が得られる
● 海外での生活経験によって自信が得られる
● 国際社会への興味関心が高まる
● 語学スキルが向上する
● 物事を広い視野で見る能力が養われる
● 多様性を柔軟に受け入れるコミュニケーション力が育まれる
● 進路や職業など将来への具体的な目標づくりに役立つ
● 国際関係の進路選択に役立つキャリアを得られる
中でも特筆すべきなのは、何事にも挑戦するチャレンジ精神が得られる点です。
留学中は、異文化生活の中で高校生本人が自ら思考し、自発的に周りに働きかけなければいけない機会があります。
このような経験ができる高校留学は、普遍的な生きる力を実践しながら学べる良い場となるでしょう。
中でも特筆すべきなのは、何事にも挑戦するチャレンジ精神が得られる点です。
留学中は、異文化生活の中で高校生本人が自ら思考し、自発的に周りに働きかけなければいけない機会があります。
このような経験ができる高校留学は、普遍的な生きる力を実践しながら学べる良い場となるでしょう。
実際に文部科学省「トビタテ!留学JAPAN」の調査でも、留学を経験した高校生の83%が「何事にも挑戦するチャレンジ精神」を得たと回答しています。他にも、広い視野での物事の捉え方やコミュニケーション能力の面で、自身の成長を感じています。
高校留学のデメリット・注意点
高校留学には多くのメリットがある一方で、次のようなデメリットも考えられます。
- 高額な費用がかかる
- 途中で挫折すると学業や進路選択へダメージを与えるリスクがある
- 留学中は孤独感などの精神的負担がある
特に高校留学の最大のデメリットといえるのは、高額な費用がかかる点です。
高校留学では、海外の高校に納める学費に加えて、渡航費や滞在費、生活費などが発生します。
また、大学進学を考えている場合は、高校生本人が望む通りの留学を実現するのは厳しくなるケースもあるでしょう。
留学費用の捻出が難しい場合は、期間を短くしたり、留学先を変えたりなど計画を見直して費用を抑える手段を講じなければいけません。
また、留学中は楽しいことだけとは限りません。
生活や文化になじめない場合などは、挫折しそうになるかもしれません。
仮に留学に挫折してしまった場合、自信を喪失したり、日本の学校に復学しても単位が足りずに進級ができなかったりなど学業にダメージを与える可能性も考えられます。
どんなにつらくても乗り切ろうとする高校生本人の強い覚悟に加え、挫折しないように留学の計画立てとサポートは慎重に行う必要があります。
高校留学のデメリットについては、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。
高校留学の種類
ひと口に高校留学といっても、留学方法は主に以下の2つがあります。
種類 | 学費 | 留学先の選択 | 目的 |
正規留学 | 自費 | 可 | 個人の希望に合わせて選択 |
交換留学 | 学校や国の負担 | 不可 | 異文化体験 |
それぞれの特徴やポイントを詳しく解説します。
正規留学
正規留学は、私費留学とも呼ばれ、留学費用はすべて自己負担します。
卒業目的などで留学期間が長くなるほど、費用は高額になるので注意が必要です。
一方で、留学内容を自分で自由にカスタマイズできる点は、大きなメリットといえるでしょう。
単位取得や卒業、スポーツや芸術など、学生本人の興味関心に合わせて留学の目的を設定できるほか、留学の期間や滞在先の国なども自由に選べます。
また、語学力に不安がある場合は、留学生のための英語授業が受けられる学校を選択するのもよいでしょう。
交換留学
交換留学制度は、日本の高校や国の機関が運営する国際交流事業です。
留学生は、異文化理解体験を主たる目的とした民間大使として留学先に滞在します。
交換留学をしながら日本の高校の単位を取得することも可能ですが、進級や卒業の判断は日本の高校側が行うため、留学前に高校との協議は必須です。
交換留学の最大の特徴は、海外高校の授業料を日本の高校や国が負担してくれることです。
また、滞在先はボランティアによるホストファミリー宅となるため、留学中の滞在費用もかかりません。
このように交換留学には経済的なメリットはありつつも、デメリットもあります。
まず交換留学制度を活用するには、運営元の定める試験や基準をクリアする必要があり、望めば必ず利用できるわけではありません。
さらに、滞在中は現地の生徒と同じ授業を受けるため、語学力もスタート時から必要になります。
加えて、滞在先や滞在期間はあらかじめ決められており、自由に選ぶことはできません。
経済的な援助がある分、さまざまな条件があります。
留学期間によるタイプの違い
高校留学は、正規留学と交換留学という留学方法の分類に加え、留学期間によって分けることもできます。
タイプ | 期間の目安 | 主な目的 |
私費留学(短期) | 3ヶ月以上 | 語学力の向上 |
私費留学(長期) | 2年以上 | 現地の高校卒業 |
交換留学 | 1年間 | 国際交流 |
短期留学 | 1~6週間 | 異文化体験 |
留学目的によって、適切な留学期間も変わります。
留学期間による特徴や違いについて、詳しく解説します。
3ヶ月以上の私費留学
3ヶ月以上の私費留学については、現地の高校の卒業を目指すかどうかで必要な期間が変わってきます。
留学先の高校を修了する目的であれば、2年以上の長期間をかけて、現地の生徒と同じ授業を受けるのが一般的です。
その場合は、海外の高校を卒業後に、日本の大学の帰国子女枠進学、もしくは海外の大学に進学する選択肢が開けてきます。
留学先での修了は目指さないまでも、語学レベルアップや異文化体験を目的として留学する場合には、3ヶ月以上の期間を設定するケースが多いです。
帰国後は、日本の高校に復学する高校生がほとんどですが、留学先で得た単位が日本の高校で認められるかどうかは、日本の高校の学校長の判断となります。
留学前に、必ず学校と協議し、留学と復学がスムーズに進むように準備しましょう。
約1年間の交換留学
交換留学制度を利用する場合、留学期間は最大1年間(実質9〜10ヶ月ほど)と決められています。
私費での1年間の留学より、金銭的な負担は軽くなりますが、それでも留学費用は決して安いとはいえません。
経済的にも入念な準備が必要です。
1~6週間ほどの短期留学
1〜6週間ほどの短い期間で海外留学を行う場合は、夏休みや春休みなど日本の高校の長期休暇を利用して行われることが多いです。
期間が短くて旅行に近い感覚で行えるため、心理的なハードルが低く感じるかもしれません。
留学エージェントサービスを行う各社では、さまざまな目的を設定したプログラムを開催しています。
例えば、語学レベルアップに特化したものや現地の高校生と創作活動をするものなど、短い期間でも達成感が得られるように工夫されています。
また、期間が短い分、留学費用が比較的抑えられる点も特徴といえるでしょう。
高校留学の費用
高校留学には、滞在先の海外高校の学費に加え、滞在費や渡航費、生活費などのお金がかかります。
費用の合計額は、留学期間や留学先の国などの条件によって大きく異なってくるため、詳しく解説します。
期間や留学先の国による差が大きい
高校留学にかかる具体的な費用は、滞在先となる国と滞在期間による差が非常に大きいです。
高校留学に人気がある国の留学費用(滞在費+生活費+授業料)の目安を、以下にまとめました。
国 | 1ヶ月 | 3ヶ月 | 6ヶ月 | 1年 |
アメリカ | 30~70万円 | 70~100万円 | 150~300万円 | 200~600万円 |
カナダ | 30~50万円 | 80~100万円 | 100~200万円 | 200~450万円 |
オーストラリア | 30~60万円 | 80~100万円 | 120~200万円 | 200~450万円 |
ニュージーランド | 30~50万円 | 70~100万円 | 100~150万円 | 200~500万円 |
イギリス | 40~70万円 | 150~200万円 | 200~400万円 | 300~600万円 |
ハワイ | 40~70万円 | 70~100万円 | 150~300万円 | 300~500万円 |
金額に差が出る要因となっているのは、各国の高校授業料、そして食糧品や生活用品などの物価です。また、為替変動により、金額が変わってきます。
留学費用を少しでも抑えたいなら、現地の生活費が安いアジア諸国を選ぶのもよいでしょう。
留学の目的とかけられる予算とのバランスとを照らし合わせながら、留学先を検討してください。
私費留学と交換留学の費用比較
次に、私費留学と交換留学の費用を比較してみましょう。
留学の種類 | 費用の総額 |
1年間の私費留学 | 400~960万円 |
1年間の交換留学 | 100~150万円 |
私費留学と比べて、交換留学は授業料や現地滞在費の負担が少ないため、費用の総額も少ないとわかります。
金銭面のメリットがある一方で、交換留学制度を利用するには条件が設定され、留学内容を自分で自由に決めることが難しいです。
どちらの留学であれば留学の目的を叶えられるのか入念に計画を立てましょう。
留学費用を節約する方法
留学費用の捻出が難しいと感じる場合は、以下のような節約術も有効です。
- 国の給付金や奨学金制度を利用する
- 航空券が安くなるシーズンに留学する
- 滞在先をホームステイにする
国が用意する制度のなかには、興味関心の探求やスポーツ・芸術への探究活動など高校生の幅広いチャレンジを対象として、月額数万円〜数十万円を支援してくれるものがあります。
なお、支給額は申請者の家計状況や滞在先の国に応じて異なります。
受け取った奨学金が返済不要の給付型であれば、留学における経済負担を大きく減らすことが可能です。
書類準備や手続きの負担は増えますが、活用できないか検討しましょう。
また、留学先への渡航費用を抑えるには、渡航時期を航空券が安くなるシーズンに設定するのもおすすめです。
観光のオフシーズンは、飛行機の利用者が減り、航空券が安くなる傾向があります。
早めの予約で、通常料金の30%〜70%ほど航空券が割引される場合があります。
また、現地の滞在費や生活費も、滞在先をホームステイにすれば節約可能です。
高校留学は通常、1ヶ月あたり約3〜10万円ほどの滞在費と食費などの生活費がかかるうえ、スタート時には家具の準備費用などがかかります。
しかし、ホームステイであれば家具は備え付けの場合が多く、初期費用を最低限に抑えられます。
さらに、ホームステイ費用の中には、食費や光熱費も含まれることがほとんどです。なお、ホストマザーが用意する食事の回数で料金が変わってきます。
自分で用意する食事は自炊にすれば、滞在費と生活費の合計額を抑えられるでしょう。
中には住み込みのベビーシッターとして、滞在費が割安に設定、もしくは給金をもらいながらホームステイできる滞在先もあります。
高校留学のスタイルの選び方
留学の目的として多い以下のケースにおいて、留学スタイルの選び方を解説します。
- 語学を学ばせたい
- 国際感覚を身に着けさせたい
- 受験に役立てたい
高校留学を「チャレンジして良かった!」と思える経験にするために、目的に適した留学スタイルを選ぶ必要がありますので、それぞれ説明します。
語学を学ばせたい
語学を学びたいと考えているなら、まずは短期留学からチャレンジし、さらに強く学びたいと思えたら長期留学をしてみるとよいでしょう。
英語をはじめとした外国語を身に付ける留学には、本格的な長期のものから短期のものまで様々なプランがあります。短期間のもので本当に効果があるのか不安に感じる方もいるかもしれません。
しかし、短期間でも語学漬けの環境に身を置けば、耳が慣れて語学への抵抗感が減ることが期待されます。
むしろいきなり長期留学をした結果、留学生活そのものに抵抗感が出て、語学を学ぼうという意欲がそがれてしまう可能性も考えられます。
そのため、まずは短期留学からチャレンジしてみるのがおすすめです。
もちろんすでに語学への強い興味関心と意思があるなら、最初から長期留学しても問題はありません。
国際感覚を身に着けさせたい
国際感覚を身につけたければ、留学エージェント各社が企画するサマースクールなどの短期留学がおすすめです。
特にサマースクールは現地の学校関係者や学生との異文化交流や学習などを交えたプログラムになっているため、より深く国際感覚を養うことができます。
同時に語学の勉強もできるサマースクールもあります。
海外の高校での単位取得や卒業、本格的な語学学習を目的としていなければ、サマースクールなどの短期留学はちょうどよい選択肢です。
サマースクールについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
受験に役立てたい
国際関係の仕事やキャリア、海外の大学への進学を考えている場合は、現地の高校生と同じ授業を学ぶ長期間の正規留学や交換留学がよいでしょう。
留学の主な目的は、海外高校の卒業や単位取得となるためです。
滞在期間も長期となって留学費用が高額になると予想されますので、事前にしっかりと費用を用意しておきましょう。加えて、高校生本人が固い決意をもつことも、留学の成功のためには重要です。
家族や高校生本人、日本の高校側と話し合いを重ね、関係者の理解を得ながら進めましょう。
高校留学なら子どもに新たな学びや体験をさせてあげられる
高校留学は、高校生本人や家族にとって大きなチャレンジであり、決断にはなかなか踏み切れない家庭も多いでしょう。
しかし留学の種類や期間はさまざまです。交換留学制度や奨学金を活用できれば、留学費用を大きく抑えられる可能性もあります。
高校生のうちに海外留学の経験を得ることで、子どもの将来の選択肢を増やせる可能性があります。子どもの将来を明るくする一つの手段として、高校留学を検討してみてはいかがでしょうか。