高校留学を検討したときに、周りから止められたことはないでしょうか。
実際、憧れだった高校留学に臨んでみたら、留学中に挫折したり、帰国後の進路に悪影響があったりして失敗した人がいるのも事実です。とはいえ、それらの失敗には原因があり、対策を行えば留学での失敗を減らせます。
本記事では、高校留学に失敗する主な原因や、成功させるポイントを解説します。高校留学の計画づくりに、ぜひ役立ててください。
高校留学を「やめとけばよかった」と後悔するケース
高校留学をやめとけばよかったと後悔する主なケースは、以下の4つです。
夢にまで見た高校留学が実現した人でも、実際に留学した先で「留学をやめておけばよかった」と後悔してしまうケースがあります。
- 現地の授業が難しくてついていけない
- 現地の言葉が上達しない
- 学校や生活の環境が合わない
- 現地での人間関係が築けず孤立する
ディーサイド留学情報センターが高校留学経験者1,088人を対象に行った調査によると、留学中にリタイア(退学を含む)を「検討したことがある」人は全体の36.3%、実際に「リタイアした」人は12.0%にのぼりました。
参考元:ディーサイド留学情報センター
つまり、留学経験のある人の半数近くは一度はリタイアを検討し、実際に挫折してしまう人も珍しくないとわかります。
どのようなケースで高校留学をリタイアするか事前に知っておけば、やめとけばよかったと後悔せずにすむでしょうか。
現地の授業が難しすぎてついていけない
まずは留学先の学習についていけなくなって挫折するケースです。
留学先の授業を理解するためには、授業内容に見合った学力と現地の語学力が必要になります。日本とは違う教育カリキュラムを、異なる言語を介して理解するのは容易ではありません。
また、海外の学校は生徒本人の自主性を重んじ、課題を多く出すケースが見られます。授業や課題をうまくこなせず、スコアが伸び悩む期間が続けば、自信を失ってしまう人も少なくないでしょう。
なかには勉学へのやる気を失い、勉強以外の逃げ道を探して遊びほうけてしまう留学生もいます。
このように、留学先でよい成績をおさめるには、学力と言語という2つの壁を乗り越えなければならず、日本で勉強する際とは違った努力が必要です。
学校の勉強がうまくいかない焦りは、精神的な負荷となり、「高校留学はやめておけばよかった」と、つい思ってしまうことにつながります。
現地の言葉が上達しない
現地の言葉がなかなか上達しないと悩んでしまい、留学をやめたくなってしまうケースもあります。
語学力アップのために留学を選択しても、言語の上達スピードは人それぞれです。いつまでもうまく話せない、うまく聞き取れない状態が続くと、焦りを感じて劣等感を抱いてしまうものです。
なかには、留学前は語学スキルに自信があっても、ネイティブな環境下ではまったく通用せず、留学スタート時から出鼻をくじかれてしまう人もいます。
外国語スキルに自信が持てないと、自分から話しかけるのも強い勇気が必要です。
さらに、海外では「意思表示がない=やりたくない」と受け取られる傾向がある点も注意しましょう。気後れして発言・発信ができない状態が続けば、周囲から声をかけられることも減ってしまいます。
外国語スキルが成長しない行き詰まり感と孤独感が相まって、留学を後悔するケースにつながります。
学校や生活の環境が合わない
留学先の学校環境や生活環境が自分に合わないと感じた時も「留学をやめておけばよかった」と思ってしまうかもしれません。
留学前に十分に調べたつもりでも、いざ現地に行ってみたら想像していた授業内容や校風と違う場合があります。
多くの留学生は、海外の学校はのびのびと自由なイメージをもっているかもしれません。しかし、実際のところ海外の学校の方は生活態度や学習態度に対して厳格な場合も多いです。
ルールをやぶってしまうと、厳罰を科されることもありえます。食文化や生活様式も日本とは異なる環境下では、生活するだけでもストレスを受けやすいものです。
小さなことで日本への恋しさが募り、爆発するようにホームシックに陥る留学生もいます。一度留学に出てしまえば、帰国するのはなかなか簡単なことではありません。
息を抜く場所がないことで、さらに追い込まれてしまい、挫折へとつながるのです。
現地での人間関係が築けずに孤立する
留学先の人間関係に馴染めずに孤独感が高まり、留学をリタイアするケースもあります。留学先では、言葉や文化の違いを乗り越えて、人間関係を築かなければいけません。
特に、学校関係者やホストファミリーなど、日常的に顔を合わせる人たちと良好な関係性をいかに早く築けるかは重要です。
コミュニケーションがうまく取れず、気まずさからますます疎遠になり、気づけば放課後や休日はずっと家にこもりきりといった孤立状態になる可能性があります。
加えて、寂しいからと日本の家族や友人に連絡してばかりになると、周囲からますます人が遠のきます。
周囲といつまでも打ち解けられない状況が続いて、「留学をやめておけばよかった」と思ってしまう日が訪れるかもしれません。
高校留学に失敗する人の特徴
高校留学に失敗する人の特徴は、次の5つです。
- 留学の目的や目標があいまい
- 留学先のリサーチが不足している
- 自己管理が甘い
- 積極的に取り組まない
- 高校留学後の進路を明確にしていない
上記のような特徴がある人は、高校留学に失敗しやすいといえるため注意しましょう。
留学の目的や目標があいまい
留学の目的や目標があいまいな人は、困難に対面したときに踏ん張りがきかず、挫折しやすいといえます。高校留学は、決して楽しいことばかりではありません。
言葉や文化の違う環境に24時間ずっと身を置いていれば、思い通りにいかないことや予想以上につらいことに何度も直面します。不安や孤独感に苛まれることもあるでしょう。
このようなネガティブな気持ちを乗り越えるには、「自分はこの留学で必ずコレを成し遂げるんだ」という、強い目的意識を持つ必要があります。また、目的意識を持つことは、留学中の一日一日を大切に過ごすためにも必要です。
目的意識が低い人は、苦労を避けて楽な選択に流されがちです。成績が落ちてもさほど気にしなかったり、日本でもできるヒマつぶしに時間を費やしてしまったりでは、海外留学をする意味がありません。
つまり、留学の目的や目標の設定は、留学を成功させられるかを左右するキーポイントです。
「なんだか楽しそう」「留学先でのラッキーな出来事を期待している」など、あいまいな目的しか持てない人は、留学は選択しないほうが賢明でしょう。
留学先のリサーチが不足している
留学先のリサーチを面倒だと感じ、手を抜いてしまう人の場合、高校留学に失敗する危険性が高まります。
たしかに留学を検討する際に向き合う情報量は、投げ出したくなるほど膨大です。
留学する国の風土や留学先の学校の校風・学力、教育カリキュラムの特徴や必要経費の額など、正しい情報を選りすぐりながら考えていく必要があります。
留学エージェントを利用すれば、必要な情報をある程度は提供してくれますが、本当に留学生本人に合っているプランなのか判断するのは本人と家族です。
不明点は質問しながら自分たちでもリサーチするなど、情報を能動的に取得する姿勢が欠かせません。
これらの情報収集を面倒に感じてリサーチを怠った場合は、留学先で「こんなはずじゃなかった」「思ったものと違った」という不満感をもちやすくなります。
その結果、高校留学を失敗だと感じやすくなってしまいます。
自己管理が甘い
遅刻や欠席が多いなど普段から自己管理が甘い人に、高校留学は向きません。
海外の学校は、生活態度や学習態度を厳しく評価します。勉学は学生の本分であり、自己管理の甘さが原因でルールを破るなど言語道断だと捉え、厳罰を与えるケースも少なくありません。
留学中は新鮮な体験も多く、日本にはない開放感や高揚感を味わえるものです。
しかし、すべてを気の向くままに自由に過ごしてよいわけではなく、学生には学生の守るべきルールがあります。
自己を律する気持ちが持てない人は、高校留学を成功させるのは難しいでしょう。
積極的に取り組まない
高校留学では積極的に学ぶ姿勢が大切です。
常に他人任せで自分から積極的に行動しない人も、高校留学を失敗させてしまう恐れがあります。
例えば、せっかく海外留学をしているのに日本人のコミュニティにばかり身を置いてしまうのは、消極的でもったいない行動です。
また、授業でわからないところがあっても、先生に質問せずに済ませてしまう留学生もいます。せっかく海外へ留学しても、日本にいるのと近い環境に身を置きたがっていては、新しい学びが得られません。
普段から学習やコミュニケーションで受け身な姿勢をとりがちな人は、消極的な姿勢が留学を失敗させてしまう原因になることを意識しましょう。
高校留学後の進路を明確にしていない
高校留学後の進路がノープランな人の場合、進学や就職に高校留学の経験を活かせず、留学経験を無駄にしてしまう可能性があります。
高校留学は本来、留学生の進路選択に大きな影響を与えるものです。留学経験をうまく活かせれば、日本国内の国際系の大学進学に役立てたり、海外大学へのチャレンジも可能になるでしょう。
しかし、それらを実現するには、必要なタイミングで必要な行動が起こせるように、留学前から計画立てて行動するべきです。
例えば、留学が終わった後に「海外の大学へ進学したい!」と思い始めても、留学時に取得した単位では出願資格を得られなかったといった事態が起こりえます。
高い費用をかけ、貴重な時間を投資して行う高校留学は、やり直しが難しいものです。留学前に明確な将来設計を行っていない人は、後から進路選択をする際に「留学のときにこうすればよかった」と後悔してしまう可能性があります。
高校留学を選択する意義
高校留学をやめておくべきかどうかを選択するには、高校留学のメリットとデメリットを比較し、留学生の将来にとって有効か考える必要があります。
高校留学のメリット・デメリットをまとめると、以下のとおりです。
メリット | ● 語学力が身に付く ● 精神的な自立を促し、グローバルな視野を身に付ける ● 進学や就職に役立つ実績が得られる |
デメリット | ● 高額な費用がかかる ● 挫折した際のリスクがある(帰国後にクラスメイトより学業が遅れてしまう、単位が足りずに留年のおそれがある など) ● 留学中は孤独感などメンタルに負荷がかかる ● 帰国後、大学入試に備える時間が短い |
高校留学において、若いうちから海外での経験やスキルを得られるのは、何物にも代えがたいメリットです。
一方、高額な留学費用がかかる点や挫折した場合に与える将来へのリスクも決して無視できません。
そして、「高校留学をする」と決めたら、投じた時間や費用に見合う成果が得られる留学にするために失敗を回避する意識が重要です。
一度しかないチャンスを活かしきるため、計画と心構えを入念に仕上げてから留学に臨みましょう。
高校留学がどのようなものか深く理解したい人は、以下の記事を参考にしてください。
高校留学はやめとけばよかったと後悔しないためにできること
高校留学を「やめておけばよかった」と思わないために、事前に知っておきたい3つのポイントを紹介します。
- 留学の目的や目標を明確にする
- 留学準備には時間をかけて徹底的に取り組む
- 留学中は何事にもチャレンジする
1つずつ詳しく解説しますので、高校留学の計画づくりにぜひ役立ててください。
留学の目的や目標を明確にする
高校留学を成功へ導く最大のキーポイントは「留学生本人の目的意識」です。
目的意識は留学生にとってやる気の源泉になり、計画や日々の行動を判断する基準になります。
留学の目的とは、言い換えると「留学をしたい理由」です。
なぜ高校留学をしたいのか自身に問いかけながら、思いつくままに書き出してみましょう。すると自然に留学で何を目指したいのか、留学することで自分がどうなりたいのか、ぼんやりとでも見えてくるはずです。
目的が決まったら、次は具体的な目標づくりをしましょう。
目標とは、目的を達成するために必要な小さなゴールです。留学先で必ず成し遂げたい目標をリストアップして、留学中に定期的にチェックしてください。
実際に目的と目標の具体例を挙げるので、参考にしてください。
留学目的の例 | 留学中の目標例 |
語学力をアップさせる | ● TOEIC700点を目指す ● 留学中は毎日、英語で日記を書く ● 現地の映画館で映画を見て理解する |
異文化への理解を深める | ● ボランティア活動に参加する ● 滞在地以外の隣接地を訪れる |
人脈を広げる | ● ホストファミリーと旅行をする ● 現地でできた友達とSNSでつながる ● クラスメイトと地域のイベントに参加する |
留学期間には限りがあるため、十分な成果を得られるかどうかは留学生の過ごし方にかかっています。
留学中は目標を達成することを意識して行動を選択していけば、自然と成果が積み上がり、目的達成に近づいていくでしょう。
唯一無二の留学経験を得るためにも、目的と目標の具体化には力を入れて取り組んでください。
留学準備には時間をかけて徹底的に取り組む
留学を成功させるためには、留学前の入念な準備が欠かせません。
留学目的が達成できる留学プランをつくるためにリサーチしたい情報の一部を挙げます。
- 留学先の国の風土や文化、治安はどうか
- 使う言語は何になり、どれくらいの語学スキルが必要か
- 公共交通機関はあるか
- 学校のホームページはチェックできるか
- 学校ではどのようなことが学べるのか
- 学校はどのような学習スタイルをとっているのか
- 候補地の学費や滞在費用はどれくらいになるのか
- 奨学金は利用できるか
- ホームステイや寮など、滞在手段はどのようになるのか
- 入試方法や留学時期はどのようになるのか
- 留学期間はどれくらい必要か
- 正規留学・交換留学などの留学方法は選べるか
- 留学準備の期間はどれくらい必要か
- 留学後はどのようなキャリアを選べるか
- 留学前・留学中・留学後の日本の高校との連携はどのようになるか
- 留学エージェントは利用できるか、各社どのような違いがあるか
情報はチェックしきれないほど多く、リサーチには相当な時間と労力がかかるでしょう。
しかし、後悔のない留学プランをつくるためにも、大切な情報に漏れがないように根気よく行うべきです。
また、リサーチ以外にも留学前に準備しておきたいことがあります。例えば、留学前に語学力をしっかりアップさせるのも大切な準備の一つです。他にも、帰国後のキャリアも事前に考えておきましょう
留学によって開けるキャリアは、外資系企業や国際機関への就職だけではありません。国内の一般企業や行政も、グローバルな人材を求める傾向があります。自身での起業に留学経験を活かす選択もあるでしょう。
進学に関していえば、海外の大学への進学や、日本の大学の帰国子女枠も考えられます。
そのような入試スタイルを目指す場合、求められている出願資格を得られるように留学を行う必要があります。
留学前の早い段階で入試情報をチェックしましょう。
留学中は何事にもチャレンジする
留学中は何事にもチャレンジする積極的な姿勢を心がけてください。
例えば、英語力アップを目指す留学なら、「現地では日本語を使わない」という覚悟を持つと良いかもしれません。
言語力を伸ばしたいなら、周囲から声をかけられるのを待つのではなく、学校やホームステイ先のコミュニティに自ら飛び込み、どんどん会話をする必要があります。
自らの力で、自分の殻をやぶる経験は、とても貴重なものです。
また、留学中に築いた人間関係は、帰国後も交流が続いて生涯にわたる財産となる可能性もあります。
高校留学でしか得られないチャンスをつかむために、積極的にチャレンジしましょう。
高校留学をやめとけばよかったと思わないために
高校留学は、留学生にとって大きな挑戦です。うまくいかないことや想像以上に大変なことに何度も直面し、留学をリタイアしてしまう人がいるのも事実です。
しかし、留学に向けて慎重な準備を行い、綿密な計画を立て、しっかりと心構えをつくることで、多くの失敗や後悔は避けられます。
高校留学の実態を正しく理解し、実り多いものにしましょう。
高校留学がどのようなものか詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。